M薬局争議 小企業での雇用と年休権確保の闘い

(1)原職復帰を勝ちとる!

◇ 定年制の通告・年休権否定と闘う

練馬区内にあるM薬局に約13年勤務してきたKさんに対し、社長は08年3月、突然60歳
定年制を通告し、再雇用(パート)の提案を行ってきました。契約書も就業規則もなく60歳定
年制はありません。

Kさんは社長と半年間にわたり話し合いを続けましたが、会社はパートの年休権を全面拒否し
続けました。練馬ユニオンの団交申し入れに対しても団交を拒否し、08年10月就労停止、賃
金不払いを強行しました。


 会社はKさんの地位不存在確認調停を簡裁に申し立て、再雇用を拒否し、退職を前提に金銭解
決を提案してきました。Kさんは金銭解決を拒否し、調停は不成立に終わりました。

◇ 都労働委員会に不当労働行為救済申し立て

ユニオンは都労委に不当労働行為救済を申し立てました。(08年10月)

第2回調査に会社は欠席を決め込んできました。都労委も呆れるほどの無理解と労働委員会軽
視です。ユニオンは調査・審問を継続し、早期に救済命令を出すよう都労委に要請しました。


出席拒否を決め込んでいた会社側は年明け早々、初めて代理人弁護士を立て、組合側代理人弁
護士に「打ち合わせ」を求めてきました。組合側代理人弁護士は労働委員会の場での話し合いを
主張しました。

都労委第4回調査で会社側はKさんを「現職に復帰し正社員として65歳まで雇用継続する」
「有給(休暇)の取得については法定の範囲内で認める」ことを正式に表明しましたが都労委の
「和解協定書(案)」の提案に対し、「経営状況」を理由に検討期間を要求してきました。

09年3月13日開催された第5回調査で都労委は意見聴取を続け、

・ 65歳までの雇用継続

・ 3月16日からの復帰(復帰までの間の未払い賃金の支払い)

・ 基本月額等労働条件は従来と同様とする(8月以降については協議する)

・ 年次有給休暇を認める 

ことを盛り込んだ「和解協定書」を提案し、双方が受諾調印しました。

Kさんは3月16日からM薬局への復帰を勝ちとりました。

 全面勝利解決を勝ちとった!

全面勝利解決です。この勝利は零細企業労働者の権利と生活権を守るため「金銭解決」を拒否
し、長期争議も覚悟して闘い続けたKさんとご家族の勇気と情熱がもたらした成果です。

組合側代理人弁護士が簡裁・都労委に対し的確な陳述を行い、会社側弁護士をつけさせること
が出来たことが大きな力になりました。また、練馬全労協をはじめ多くの労働組合と友人が支援
共闘会議の結成を準備しながら支援の輪を拡げたことがKさんを力づけると共に、会社に対して
も大きな力となりました。

8月以降の給与見直し問題などこれからも闘いは続きます。

全ての労働者の生活と権利のために前進しましょう。

『ねりまユニオン』第79号(09年3月21日)より

 ★ ご支援ありがとうございました! 

 会社からの就労停止と賃金不払いという解雇同然の攻撃と闘ってきた、M薬局問題が09年3
月13日、都労委において和解が成立しました。65歳まで社員として雇用継続するという勝利
和解です。

 最大の勝因は言うまでもなく「団結と連帯」です。練馬全労協、練馬ユニオン、N関労、新社
会党、労働大学まなぶ友の会が組織的な取り組みをして下さり、また他にもたくさんの労組、団
体のみなさまが支援して下さいました。そしてM薬局の多くの患者さんの励ましも私を勇気づけ
てくれました。

 そしてもうひとつの勝因は闘争方針のたてかたにあります。練馬ユニオンは私の意向を汲みつ
つ、組合側代理人弁護士と都労委の労働委員のアドバイスを受けながら、局面ごとにみんなで議
論し、方針をたてました。このことで団結が強まり、勝利へと繋がったと思います。

 この闘いで私は雇用継続とともにパートの年休権に強くこだわりました。パートの年休権を主
張し、ユニオンで団交をと言ったとたん解雇同然の扱いを受けました。零細企業労働者が年休権
を行使するためには自分の首を賭けて闘わなければならないのです。これはM薬局に限らず中小
零細企業労働者の置かれている現実です。

 幸い私は正社員として復帰なので会社はこれまで通り年休は認めていますが、パートの年休に
ついては認めないでしょう。会社はそのためにも、私の復帰をパートでなく社員としたのですか
ら。この問題は私の今後の大きな課題です。

 この闘いで多くの事を学びました。今後の運動に生かしていけたらと思っています。

 共に闘い、支援して下さった多くのみなさまに心からお礼申し上げます。

『ねりまユニオン』第79号(09年3月21日)より


(2)会社はパートの年休権を認める!

 60歳定年制とパートの年休権で闘った、M薬局闘争は多くの方のご支援で勝利し、3月16
日より原職復帰(社員として65歳まで雇用継続)しました。復帰当初は従業員の言動にぎこち
なさはありましたが、現在は闘争前と変わらぬようになりました。

 会社は、就業規則を新たに作り、8月から施行しました。パートの年休権を労働基準法通りに
明記し、行使権を認めました。パートの薬剤師のひとりからは「病気治療のため休む事が多くな
るが、Kさんのおかげで年休が使えるようになった、ありがとう」と言われました。私の闘いで
は薬局の従業員の理解を得られず、復帰後の仲間作りに苦心していました。しかし、会社がパー
トの年休を認め、パートから前述の事を言われた事は、闘いの成果であり、闘って良かったと心
から思っています。

就業規則ではこれまでの労働条件より悪くなる部分もあり、就業規則説明会での会社の不誠実
な姿勢と管理職からのパワーハラスメント等もありました。また復帰にあたって締結した和解協
定書による8月以降の労働条件の見直しもあります。練馬ユニオンからこれらの事については協
議して決める事が協定書に明記されている旨の確認とパワハラ防止の要請文を送った事により、
条件改悪もパワハラも現在のところありません。

 施行後の問題もあります。第一点は就業規則は、従業員がいつでも見ることが出来る状態にし
ておかなければならないのに社長は「俺に言えばいつでも見せるからおれのいるところで見れば
いいし、聞いてくれば俺が答えるから、その必要はない」と。

第二点は新たに制定された配偶者手当を私が要求したところ、「(Kさんの条件は)和解協定書
通りに65才までやればいいのだから適用することはない」と。しかし就業規則と契約書、協定
書との関係性はそのいずれかのうち、条件の一番上回っているものの定めの通りにしなければな
らないと労基法に謳っています。

 このように会社は相も変わらず労基法に反することを主張しています。このふたつの問題につ
いては会社に認めさせなくてはなりません。

闘争は今後も続きます。どうぞご支援をお願いします。  

『ねりまユニオン』第82号(09年9月1日)より


(3)復帰後の闘い

60歳定年強要とパートの年休権拒否で事実上解雇され、和解勝利し原職復帰して一年がたちまし
た。

 復帰後、会社は就業規則を作り、パートの多くが年休を使い始めています。会社が拒否していた、
就業規則を職場に置く事と私への配偶者手当も認めました。

 ところが、復帰に際し労働委員会で締結した「和解協定書」の「65歳まで雇用契約を継続。賃金
等の条件は協議し、他の従業員と公平・公正にする。働きやすい職場環境作りに努力する」について
会社はこれを守ろうとせず、昇給差別をし、社長は環境作りにも努力しません。ユニオンからの協定
書を遵守するよう再三の要請に対し、会社は「60歳で一旦退職したのだから合理的区別であるが、
紛争を避けるため恩恵的に昇給するから、協議の必要はない」と協定書を無視し続けました。

ユニオンは弁護士を通し、協定書遵守の通知と法的措置を取る旨通告したところ、会社の要請によ
り双方の弁護士の話し合いが持たれました。会社側弁護士からユニオンの要請に応じ、協定書を遵守
する旨の回答を得ています。そして、社長の私への態度にも変化が出てきました。私からの挨拶に返
事もせず、復帰後は私の名前を一度も読んだことがなかったのが、挨拶が返ってくるようになり、「K
さん」と名前を呼び掛けるようになりました。

 一昨年からの一連の労使問題について、会社は一貫してユニオンとの団交・協議から逃げ、法的に
厳しくなると弁護士を立てて渋々とユニオンの要求に応じてきました。ユニオン軽視の姿勢に憤りを
覚えます。そして労働者の権利は法律や協定書で保障されていても、要求して闘わなければ行使もで
きず、真に労働者のものにならないと痛感しています。

 今後も協定書を完全に実施させ、働きやすい職場環境と労働条件の向上を目指し、頑張ります。

『ねりまユニオン』第85号(10年3月20日)より