解決事例 B

「労働者魂」が勝利した !

 K社「委託」労働者 I さん解雇問題/東京地裁で「勝利和解」!

◇ 一方的な契約変更と契約打ち切り

 写真現像などを行っているK社練馬営業所は、「集配・営業業務」に携わってい
る「委託」労働者12名中5名に対して、「契約料金」(賃金)日額を一律9,500円に引き下げ
ることを一方的に通告してきました。

「契約書」では、「契約期間中は報酬金額の変更を行わない…甲・乙協議のうえ変更すること
がある」と明記されており、一方的な通告で「契約料金」を変更することは契約違反です。

 K社が話し合いも拒否したため、Iさんはユニオンに加入して闘いを開始しました。しかし
K社はユニオンとの第一回団交の翌日、新たな契約書を配布し、「今日中に提出しろしろ、引
き下げに同意しなければ契約を更新しない」と契約の打ち切り(=解雇)を強行してきました。

 K社の論理は、「委託」契約だからいつでもどんな条件でも契約解除(解雇)できるという
「委託」労働者を使い捨てにするメチャクチャな論理です。



◇ 団交・労働委員会「あっせん」にも誠意なし

      「債務不履行に基づく損害賠償請求」で提訴 !


 ユニオンは団交でK社の不当性を追求し、「契約打つきり」(解雇)の撤回を要求しましたが、
K社は不誠実な対応を続け、東京都地方労働委員会の「あっせん」でもユニオンが提案した
「和解案」さえ拒否してきました。

 ユニオンが提起した「和解案」は

 @ 今回の経過についての謝罪

 A Iさんの8年におよぶ貢献に感謝の意思表示

 B 最低限の生活保障

というぎりぎりの「譲歩案」ですが、K社はこの提案に対しても「前例がない」「支払う義務が
ない」と頑なな対応を続け、「潰れそうな会社を救ってあげた」「感謝の意思表示はお門違い
だ」とまで言い放ってきました。

 Iさんは厳しい生活状況を抱えながら「会社のやりたい放題は許さない ! 人道的に思
い知らせてやりたい !」
と、東京地方裁判所に「債務不履行に基づく損害賠償請求」で、
提訴に踏み切りました。



◇ 「首切り自由」を主張し開き直ったK社

      敗北を悟り、一転「和解」を懇願 ? !


 K社は『答弁書』で、「@専属契約ではない、したがって A各日ごとに業務を委託する・委託
しない自由があるから支払う義務はない」と主張し、第一回公判でも「契約を打ち切ったので
はなく、個別発注を打ち切ったのだ」と「首切り自由」を合理化する、非道・横暴な論理を繰り出
してきました。

 原告代理人(A弁護士)は第二回公判に準備書面を提出し、会社の主張を理路整然と完膚な
きまで反駁しました。このため会社(被告)代理人(Y弁護士)は裁判長から求められていた主張・
立証さえ準備できず、裁判長に「和解」を懇請する状況に陥りました。

 「弁論準備」の話し合いが行われましたが、その席上、K社代理人は「組合要求の
倍額を用意するから和解したい」と申し出てきました。ユニオンはIさんと協議し、金額に示さ
れた会社の「謝罪」「反省」の意を評価し、和解案を完全勝利ととらえ、和解に応じることとしま
した。



◇ 「労働者魂」が勝利した !

 今回の勝利は「やられたらやりかえさなければ気がすまない」労働者魂で諦めることなく
闘い続けたIさんの頑張りがもたらした成果です。同時に、国難が予想された訴訟を的確・
迅速に勝利に導いてくださったA弁護士と労働者法律センターの力強いご支援の賜物です。
紙面を通じて厚く御礼申し上げます。

 他方、K社の対応には改めて憤りを表明しないわけにはいきません。

言語道断な契約打ち切りという解雇を強行し、団体交渉と都労委あっせんでは解決を拒否
し、当事者間での自主解決を放棄し、解決を遅らせた責任をK社は免れることは出来ませ
ん。 

 「裁判」という場に出されて「デタラメな事は通用しない」「争っても勝ち目がない」と思い知ら
されたとするなら、あまりにもお粗末な経営者と言わざるをえません。

 K社は今回の「和解」を肝に銘じ、労働者の使い捨てをやめろ !

 企業再建に名をかりた大リストラ・人員整理を許さないぞ !
ねりまユニオン ニュース