解決事例 A

外資系企業は日本の労働法・判例法理を守れ!

外資系企業の理不尽な
「整理解雇」と闘ったMさん!

 私は海外支社の業績不振の影響と勤務態度不良という理由でリストラされました。4-5分の遅刻、
電話の対応が慇懃無礼、喫煙、トイレによる離席が多い、と指摘されましたが、事前の注意もなく、
誇張、事実無根も多分に含まれていましたが弁解の余地も与えられず、具体的説明を求めても回
答を拒否するといった、あまりにも一方的なものであり、こじつけであるということは明らかでした。

 そして、第一の解雇理由は実は社長が私を気に入らないからだと同僚に言ったことを聞かされま
した。社長に嫌われていたのは知っていました。無視したり、書類を放り投げてよこすなど、嫌が
らせに近い行為を受けてきました。私も無理に歩みよろうとはせず、仕事にだけは影響させないよ
う努めてきました。仕事に支障をきたせば、私を排除するかっこうの理由を与えることになるから
です。

 そんな折、海外支社で多額の横領事件が発生し、会社側はこれを表向きの理由にして、私を解
雇しました。即日解雇、退社時間1時間前に言い渡されました。

 解雇理由を伝えたときの会社側は、私がいかに無能で有害かつ迷惑な存在であるかに終始して
いましたが、会社のトップは、数時間の遅刻や無断欠勤は日常茶飯事で、入院、葬式と嘘をついて
連日休む、客先との約束に平気で遅れる、すっぽかす、問合せにも回答しないでほったらかし、そ
の都度私たちがクレーム処理に追われること数知れず、自分の私用を私にやらせる、私的な遊行
費を接待と称し放蕩をつくす、タクシーでセクハラをする、など挙げればきりがないほどむちゃくちゃ
な人間達でした。

 自惚れでも何でもなく、私は自分の仕事はきちんと責任を持って遂行しておりました。客先や支社
からの反応や自分の出した結果を見れば、ある程度わかるものです。残業代も出ない会社でした
が、いとわずやってきました。

 少なくとも、やるべきこともしないで立場を利用し私利私欲を貪る人間達に非難され、否定され、
踏付けにされる理由など一つもない、と解雇撤回を要求しました。

 組合活動も団交も私には何もかも初めての経験でした。解雇を言い渡された時、この先の生活の
不安や自分の置かれた状況を嘆き悲しむ余裕などはなく、ただ心は怒りでいっぱいになり、即、行
動に移したものの、色々な労働紛争のケースを聞くと、数年に亘って生活を犠牲にして闘う中で心身
ともに傷つく人達も沢山おり、自分の闘いは決着するまでどのくらいかかるだろう、この先、耐え難い
精神的金銭的苦痛を長期間に亘って強いられることになっても自分は闘い抜けるだろうか、と不安
がよぎりました。

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 結果は数回の団交を重ね、約1ヶ月で和解という形で決着しました。最後の勤務日は"さっさと出て
いけ"と言わんばかりの態度で、詫びはおろか、労い(ねぎらい)の一言もない冷淡な態度だった会
社が、団交を申入れてからは、手の平を返したように、「御免ね,いやぁほんとに悪かったよ」と繰り
返し、進んで謝罪文を書いてくるなど、その豹変ぶりには驚き、呆れました。「欧米式の解雇を行なっ
た」などと苦しい言い訳をし、自分達の立場を死守する為だけに全く心のこもっていない謝罪の言葉
を繰り返す姿は腹立たしい反面、滑稽で悲しく、こんな人間達の下でこの先働き続けていくことに疑
問を感じ、解雇撤回を取下げ、和解を選びました。

 事実、具体的な和解条件の話になると、金額だけにやたら固執し、「他人のメールを私が削除した
」と事実無根のことを言い、名誉毀損に相当することなのに、まるで取るに足らないことのような扱い
をしたかと思えば、状況が未だに理解できず、無意味にいきなり凄んでみせたり(即、委員長に凄み
返されましたが)、浅ましさをむき出しにし、底の浅さを露呈させ、そんな姿を目の当たりにして、はか
らずも和解を選んで正解だったと思うに至りました。たとえ和解をしても、心身ともに被った傷が完全
に癒えるものではありませんが、一日も早く気持ちを切り替え、前向きに新たなスタートを切るため
にも、泣き寝入りしないで本当に良かったと思っております。今回のことは自分にとって確実にプラス
の経験になったと思います。
 これもひとえにユニオンの皆さんの暖かい励ましと力強い支え、交渉技術の高さのおかげです。
本当にありがとうございました。  (M) 
ねりまユニオン ニュース