解決事例 F

A市社協“人権侵害”を認め謝罪!

◇ 「福祉」職場でのいじめ・性差別 !

A市の社会福祉協議会(以下「社協」と略します)という住民の福祉に直接携わる職場で、執
拗な「いじめ」や嫌がらせを受け、心因反応発症にまで追い込まれてしまった組合員Sさん
の問題については、3回の団交、7回゜の「折衝」を重ねた。この度ようやく公務上の疾病
であることを認めさせ、「いじめ」を行った職員2人と職場の責任者から謝罪文を提出させ、
職員の研修も含めた職場環境の改善を約束させることができました。

今年2月にSさんからの相談を受けたユニオンは、Sさんの心因反応発症が「公務上の疾
病」であり、休職期間を病気休暇扱いとすること、また、発病の原因は職員による「いじめ」、
そしてそれを放置した管理職にあるとして、Sさんの救済と当該者と管理職の謝罪と責任の
明示、職場環境の改善を要求してきました。

職場における性差別は一般的に加害者=男性、被害者=女性と思われがちですが、今回
のケースは同じ女性による女性に対する性差別でした。「子どもを生み育てることこそが女
の幸せであり、出産経験のない女性は半人前」と言わんばかりのことをSさんは言われ続け
てきました。Sさんは声に出してきっぱりと「やめてほしい」と意思表示しているにもかかわら
ず、善意をよそおって執拗に繰り返される「いじめ」と性差別。
Sさんは在職中、上司に相談しても「我慢しろ」と言われるだけで、何の改善策も取ってもら
えませんでしたが、その「事なかれ主義体質」が団交でも露呈されました。

◇ 保身と逃避 !ようやく謝罪 !

第一回団交でSさんは勇気を奮い起こして経過を説明しました。社協は「Sさんの言うことが
100%正しいと考えた上、対策を検討する」と約束しましたが、「福祉関係の職場でいじめ
があるはずがない」と事実確認もせず言い張ってきたり、Sさんが弱いだけ、と責任転嫁した
かと思えば、Sさんを別の職場に異動させるからと問題をすりかえようとしたり、事実調査を
して問題を改善しようとする姿勢が全く見られませんでした。

団交と「事務折衝」を繰り返し、やっとのことで当事者の謝罪文提出を了承させましたが、約
束した期限を平気で何度も破るいい加減さには呆れてしまいました。自分たちの保身と問題
からの逃避に撤した態度は本当に頭にきました。Sさんはこの過程で心身共に一層傷つけ
られました。

◇ 「お役所的」対応に驚き、呆れました !

私は、是非とも一度は団交に参加して、ちょっと(かなり?)言ってやりたい、事と次第によって
は「いじめ」の張本人2人を団交に出席させて、詰め寄ってやりたいと言う気持ちに駆られま
したが、残念ながら私は出席できませんでした。なぜなら社協側は頑なに勤務時間内に団交
を行うことに固執し、ユニオンが土曜日や勤務終了後の時間を指定しても、時間外手当が払
われないことなどを理由にして拒否してきたからです。管理職であれば時間外手当がないこ
とは民間の会社ではごく普通のことですし、その為にも管理職手当てが支払われているはず
です。それに勤務時間内は「本来の業務」があるはずなのに、勤務時間内に団交をして、そし
て何が何でも定時退社 ? !
民間会社しか知らない私にとっては、普通の会社では到底通用しないことを当然のように言
う、これがお役所の体質と言うと語弊があるかもしれませんか(そうじゃないお役所の人もい
るでしょうし)とにかく驚き、呆れる対応の連続でした。

◇ 旧態依然の職場体質に大きな一石を投じた !

5ヶ月間、3回の団交、7回の「折衝」を重ね、この度ようやく公務上の疾病であることを認めさ
せ、「いじめ」を行った職員2人と職場の責任者からの謝罪文を提出させ、職員の研修も含め
た職場環境の改善を約束させることができました。
今まで何人もの人が、悔しい思いを抱きながら諦めて、ただ黙って去っていった中、屈せずに
立ち向かったSさんの勇気は、長年旧態依然とした体質に安住してきたA市社協に大きな一
石を投じたことでしょう。 (M)

闘い終わってSさんから

ねりまユニオンのお力により、社協から謝罪文を頂けた事を感謝いたします。今年2月、社協
から事前の通告もないまま、私の身分が「退職となっている」と聞いたのがユニオンに相談す
るキッカケでした。そのときの怒りは今でも忘れません。
腹が立ち、「この怒りをどうし
たらいいのか、労働者はこの現実を受け止めるしかないのか」とインターネットで何か手段は
ないかと必死に検索したので今でも昨日のことのように覚えてます。
そのとき出会ったのが練馬ユニオンです。無料で相談に乗ってくれる ? 最初は半信半疑でし
たが、何度も相談に乗っていただく中で、「こんなに私のために考えてくれる人たちがいるん
だ」と感謝の気持ちでいっぱいになりました。
社協では、これまで実社会での経験を通して培った考えややり方をことごとく否定され、非常
識扱いされ、次第に自分でも「私が間違っているのだろうか ? 」と劣等感を持ち始め、自分を
責めたこともありましたが、ユニオンに相談し、自分の気持ちをわかってくれる人たちと出会え
て、元気を取り戻すことができました。
団交の意味すらわからなかった私でしたが、社協との団交を何回も繰り返して下さった事。ま
た、その後は私の体を気遣って練馬ユニオンの方々だけで団交を進めて下さった事。そして
あきらめていた謝罪文を社協から頂いた事。
社協を変える(変えた)なんて…スゴイの一言です。

謝罪文を頂いてから私の体調はお医者さんがびっくりするほどとても良くなりました。
これで新たな出発ができます。

これも練馬ユニオンの方々のおかげです。大変お世話になりました。ありがとうございました。
これからも宜しくお願いします。

〔『ゆにおん』39号より〕
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